はじめに
私たちの身近にあるお菓子や飲料、おもちゃには、何年も前から存在しているロングセラー商品がたくさんあります。子どもの頃から親しんでいる人もいれば、大人になってからその魅力に気づいたという人も多いのではないでしょうか。
そんなロングセラー商品が、最近になって「過去最高売上」を更新していることをご存じですか? 2025年6月22日放送の『がっちりマンデー‼』では、森永製菓の「ハイチュウ」、サントリーの「天然水」、江崎グリコの「17アイス」、そしてタカラトミーのベビー向けおもちゃ「メリー」の4商品に注目し、急成長の理由を解き明かしました。
この記事では、番組で紹介された各商品の進化と、その成功のカギをわかりやすく解説します。長年愛され続けた商品が、なぜ今になって再び注目を集めるのか。そのヒントを探っていきましょう。
目次
がっちりマンデー‼ハイチュウが急伸した革新的食感リニューアル
森永製菓の「ハイチュウ」は、フルーツのジューシーさと独特の食感で長年親しまれてきたチューインガム風ソフトキャンディです。その味わいは子どもから大人まで幅広い世代に支持され、ロングセラー商品として不動の地位を築いてきました。
しかし、時代の変化とともに顧客ニーズも多様化し、森永製菓は2022年に25年ぶりとなる大胆なリニューアルを決行しました。ポイントは「食感」。外側のソフト層を従来よりもさらに柔らかくし、内側とのバランスを整えることで、よりもちもち感が長く続く構造に改良されたのです。この変更により、ハイチュウならではの噛みごたえと口どけの良さが際立ち、従来のファンはもちろん、これまであまり手に取ってこなかった新規層、特に10代後半〜20代の若者層にも受け入れられるようになりました。
ロゴ表記の変更
さらに、2024年にはロゴデザインにも手が加えられました。長年使われてきたカタカナ表記の「ハイチュウ」から、グローバル展開を視野に入れた英字表記「HI-CHEW」へと刷新。これにより海外展開との一貫性が生まれただけでなく、パッケージ全体のデザインがより洗練され、SNS映えを意識したビジュアルに進化しました。特にInstagramやTikTokでは「パケ買い」する若者が続出し、#hichew の投稿数も大きく伸びています。

このようなパッケージと中身の両面からのリブランディング施策が相乗効果を生み出し、売上は2024年以降急激に伸長。2025年にはブランド史上過去最高の売上を記録するなど、まさに再ブレイクとも言える成果を収めています。今後もさらなるフレーバー展開や海外市場への対応が期待され、ハイチュウは次のステージへと歩みを進めています。
森永製菓:公式HP
森永製菓:公式Instagram
がっちりマンデー‼「メリー」の飽きさせない仕組みが切り開く新市場
タカラトミーのロングセラー商品「メリー」は、赤ちゃん用の回転式おもちゃで、何世代にもわたって愛され続けてきた育児アイテムです。発売以来、出産祝いの定番として多くの家庭に浸透しており、累計販売台数は10万台を超えています。その人気の理由は、赤ちゃんの五感を刺激する音楽・光・動きの絶妙なバランスにあります。
とくに注目されたのが、「止まるメリー」として話題となった最新モデルの仕組みです。これまでは一定のスピードでくるくる回るだけだったメリーに対し、新モデルでは約15秒ごとに一時停止し、そのタイミングで優しい音楽や自然音、母の声を再現した音声が流れるよう設計されています。この「あえて止まる」という仕掛けが赤ちゃんの興味を継続的に引き出し、「じっと見つめる」「反応する」「手を伸ばす」など、発達を促す行動を自然に引き出すことに成功しています。
また、このユニークな設計は、家庭内だけでなく、保育園や子育て支援施設、産婦人科の待合室などでも活用されるようになりました。赤ちゃんの集中力が持続しやすくなることから、育児に忙しい保護者からも「手が離せる時間が増えて助かる」といった実用的な評価も寄せられています。
メリーの進化!
さらに、SNSやママ向け口コミアプリでも「メリーの進化がすごい」「育児の救世主」といった声が続出。家庭用アイテムとしての枠を超え、教育・医療・福祉の分野にも広がりを見せ、新しいユーザー層へのアプローチにも成功しました。こうした展開は、タカラトミーが製品に込めた「赤ちゃんとの対話を育む」というコンセプトが、社会的なニーズと合致したことを示しています。

このように「止まるメリー」は、単なるおもちゃではなく、赤ちゃんの感性を育てる“知育ツール”として新しい市場を開拓。長年培ってきた信頼性に革新的な機能を掛け合わせることで、ロングセラー商品の再成長を実現した好例といえるでしょう。
タカラトミー:公式HP
タカラトミー:公式Instagram
がっちりマンデー‼天然水のボトルデザイン刷新がもたらした売上1.6倍
サントリーの「天然水」1リットルサイズは、発売当初からシンプルで親しみやすい味わいと、安全で安心なイメージで高い評価を受けてきました。ミネラルバランスが絶妙で、日常的な水分補給や料理など、あらゆる生活シーンで活用される存在です。
ロングセラーの「天然水」
そんなロングセラーの「天然水」において、2025年5月に大きな変化がありました。リニューアルの核となったのは、“ボトルの形状”の刷新です。従来の丸みを帯びたペットボトルから、スリムで角ばったデザインへと変更することで、見た目にも洗練された印象となり、ユーザーの携帯性にも配慮した形状に生まれ変わりました。
特にこの新ボトルは、リュックのサイドポケットや通勤カバン、車のカップホルダーにもすっきりと収まるサイズ感で、忙しいビジネスパーソンやアウトドア愛好家にとって大きなメリットとなりました。また、広口設計を採用したことで“直飲み”スタイルにぴったり合い、オフィスやスポーツシーンでも快適に飲めるようになっています。
見た目の変化だけでなく、環境配慮の観点でも評価が高まっています。新しいボトルには再生PET素材が一部使用されており、サステナブル志向の高まりに対応した設計も消費者に受け入れられる要因となりました。ラベルも従来より簡素化され、リサイクルのしやすさを意識した構造に改善されています。
こうした多角的な改良が功を奏し、リニューアル後5か月間の販売実績は前年比150%、売上においても1.6倍という飛躍的な成果を達成しました。さらに、販促活動では「スリムに変わった天然水」キャンペーンとしてSNSでの動画投稿や利用シーンの紹介も行われ、若い世代の関心を引きつけるきっかけとなりました。

見た目の印象と機能性、さらには社会的価値までを一体化させた今回のリニューアルは、今後のロングセラー商品の進化モデルとして注目されるでしょう。
サントリー:公式HP
サントリー:公式Instagram
がっちりマンデー‼17アイスが日常に入り込む戦略の全貌
\🍵新フレーバー登場🥛/
— セブンティーンアイス (@17iceJP) April 29, 2025
<宇治抹茶> と <北海道ミルク>#セブンティーンアイス から2つの
新フレーバーが登場🎉
<宇治抹茶>の深い旨みと、<北海道ミルク>の濃厚な甘み✨
素材にこだわった、日本ならではの美味しさ🍦
販売する自販機を限定しております!… pic.twitter.com/H3tKTwEYpp
江崎グリコの「17アイス」は、駅構内などに設置された専用自動販売機で販売されるアイスクリームで、多くの人にとって「通勤途中に買える手軽なおやつ」として親しまれてきました。特に夏場には、涼を求める人々のニーズにぴったりと合致し、「駅ナカスイーツ」としての地位を確立していました。
しかし、近年ではその利用シーンを大きく広げる取り組みが進んでいます。江崎グリコは「アイス=夏」のイメージを打ち破るために、設置場所の大幅拡大に乗り出しました。高校やスイミングスクールといった若年層の動線上に加え、オフィスビルや図書館、公共施設、商業施設といった多様な空間へと進出。季節や時間帯に縛られずに購入できる“いつでもどこでもアイス”という新たなポジショニングを確立しました。
種類豊富なフレーバー
設置場所の多様化は、利用者層の広がりにもつながっています。たとえば、部活帰りの高校生が小腹を満たすために購入したり、仕事の合間のリフレッシュとしてオフィスワーカーが購入したりと、世代やライフスタイルを問わない“ちょっと一息”の選択肢として支持されています。さらに、種類豊富なフレーバーやユニークなパッケージデザインも魅力の一つで、選ぶ楽しさも提供しています。
加えて、2024年からはキャッシュレス決済への対応も進み、交通系ICカードやQRコード決済に対応した自販機が増加。買いやすさ、手軽さが格段に向上しました。これにより、特に若年層やキャッシュレス世代の購入ハードルが下がり、売上アップにも直結しています。
こうした戦略が奏功し、「17アイス」は2023年・2024年と2年連続で過去最高の売上を更新。「手軽に楽しめるアイス」という位置づけを超え、日常生活の中に溶け込む“生活インフラ型スイーツ”へと進化しています。

今後は、地域限定フレーバーの展開や外国人観光客向けの英語表記対応など、さらなるグローバル展開も期待されています。
ロングセラー再成長の共通点とマーケティングの基本原則
今回取り上げた4つの商品には、いくつかの共通点があります。
・既存の商品価値を大きく変えず、小さな改良を積み重ねたこと
・ユーザー視点を徹底し、日常の中での使いやすさや魅力を追求したこと
・SNSや口コミなど、現代の消費者行動に即した情報発信がなされたこと
このような「ちょっとした工夫」が、長年の定番商品に再び脚光を当て、売上を急伸させる原動力となったのです。
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まとめ:がっちりマンデー‼ ロングセラー急伸の秘密 ハイチュウ 天然水 17アイスの共通点とは?
がっちりマンデー‼:公式HP
ハイチュウの食感リニューアル、メリーの“止まる”工夫、天然水のボトル形状変更、17アイスの設置場所戦略。どれも劇的な変化ではなく、ユーザーの「ちょっとした不便」や「日常のニーズ」に応える視点から生まれたアイデアです。
この成功事例は、すべてのマーケターや商品開発担当者にとって大きなヒントとなるでしょう。次にこれらの商品を目にしたときは、その背景にある工夫と挑戦のストーリーを思い出してみてください。