日々の買い物で私たちの目を楽しませてくれる「ドン・キホーテ」。その店内で、ひときわ目を引く商品パッケージがあるのをご存じでしょうか?
それが、ドン・キホーテのプライベートブランド「情熱価格」の商品たちです。見た目は一見普通でも、よく見るとパッケージにぎっしりと書かれた長文の説明文が目に飛び込んできます。
この「長文パッケージ」こそが、情熱価格の最大の戦略ポイント。今回の記事では、ドンキのPB(プライベートブランド)「情熱価格」がなぜここまで消費者の心をつかむのか、その商品説明戦略を徹底分析していきます。
目次
ドン・キホーテ情熱価格とは?ブランドの成り立ちと変化
「情熱価格」は2009年10月にスタートしたドン・キホーテ独自のブランドです。コンセプトは「お客様の声をカタチに」。驚くような安さと、お客様のニーズを的確にとらえたユニークな商品を提供し続けてきました。
しかし、時代の変化とともにその勢いも一時は停滞。ブランドの認知率や売上構成比が伸び悩み、課題を抱えるようになりました。

そんな中、2021年2月に大規模なリブランディングが実施されました。キーワードは「驚きのニュースのない商品は発売しない」。この一文が象徴するように、情熱価格は単なる格安商品ブランドではなく、「情報」と「物語」で商品を語る新しい戦略へと進化しました。
長い商品説明文で視線を引きつける巧みな仕掛け
店頭で思わず立ち止まってしまう、そんな商品が情熱価格にはたくさんあります。その理由は、「えっ、こんなに文字があるの?」と思ってしまうほどの長いパッケージ説明文。
たとえば、「3種類味わえる柿の種」という商品には、なんと318文字もの説明文が記載されています。この一風変わったパッケージ戦略は、次の3つの効果を狙って設計されています。
1. 奇抜さで視線を集める
普通の商品名はせいぜい10〜20文字程度。しかし情熱価格の商品は100文字を超えることも珍しくありません。文字の密度に思わず目を止め、「これは何?」と興味を抱く人が続出します。
2. ストーリー性の付与
パッケージには、開発者のコメントや商品の開発秘話が綴られています。たとえば「担当者がナッツ愛を貫いて独断と偏見で選んだ黄金比率」など、個人的な想いや工夫が込められており、消費者はその背景に共感を覚えやすくなります。
3. POP(販促物)不要の自立型商品
一般的に商品には販促用POP(ポップ)がつけられますが、情熱価格の場合、パッケージそのものが販促ツールとして機能します。その場で読んで納得し、購買に直結させる構造になっているのです。
驚きのニュースがブランドの核になる
ドン・キホーテでは、情熱価格の商品を開発する際、「驚きのニュース」を盛り込むことが必須条件となっています。つまり、ただ安いだけではダメ。話題性、こだわり、実績など、消費者に伝えたいニュース性があるかどうかが、商品化の鍵を握っています。
驚きのニュースの具体例
• 開発背景:「SNSの声を受けて○○を改良しました」
• 担当者のこだわり:「何度も試作を繰り返した黄金比率」
• 社会的証明:「年間20億円以上売れてます!」

これらの要素をパッケージに盛り込むことで、商品そのものが「語りかけてくる存在」になっているのです。
実際にヒットした商品の事例紹介

リブランディング後、情熱価格からは続々とヒット商品が登場しています。その中でも注目すべき3商品をご紹介します。
素煎りミックスナッツDX

出典:ドン・キホーテ公式HP:https://www.donki.com/j-kakaku/product/detail.php?item=3211
ナッツ愛が詰まったこの商品は、アーモンド・カシューナッツ・くるみの比率にとことんこだわった逸品。無添加で素材そのままの美味しさを長文パッケージでアピールし、2021年から2022年にかけて販売数1位を記録しました。
マスタードマヨ 柿ピー

出典:ドン・キホーテ公式HP:https://www.donki.com/j-kakaku/product/detail.php?item=2619
マスタードの豊かな香りとマヨネーズのほのかな酸味が、香ばしい柿の種と相性抜群!
今までになかった禁断の組み合わせをお楽しみください。SNSでも拡散されて大ヒット。
有明海産焼のり 板のり10枚×2袋パック

出典:ドン・キホーテ公式HP:https://www.donki.com/j-kakaku/product/detail.php?item=3873
豊饒な海で育まれた日本を代表する名産地有明海産の焼きのりです。
香ばしくしっかりとした歯切れにすうっと漂う磯の風味がたまらない!
消費者心理を巧みに刺激する仕組み
情熱価格の商品説明には、心理学的な戦略も込められています。以下の3つの要素が、購買行動を後押しするカギとなっています。
社会的証明(みんなが買っている)
「年間販売個数○○万個」「リピーター続出」などの情報で、「自分も買ってみようかな」と思わせる効果があります。
共感と信頼の獲得
担当者の失敗談や熱意を語ることで、読者の共感を誘い、ブランドへの信頼感が高まります。「この人が作ったなら間違いない」と感じさせる演出です。
差別化による記憶定着

他社がマネしづらいパッケージスタイルは、それだけで強烈な印象を残します。一度見たら忘れない「長文パッケージ」は、ドン・キホーテの売場の中でも目立ち、リピートを促進します。
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まとめ 〜情熱価格が生み出す「買い物の物語」〜
ドン・キホーテ:公式HP
ドン・キホーテ:公式Instagram
ドン・キホーテ:公式 X
ドン・キホーテの「情熱価格」は、もはやただのプライベートブランドではありません。
商品に込められた情熱、こだわり、失敗と挑戦のストーリーが、長文のパッケージを通じて語られることで、消費者は単なる「物」以上の価値を感じ取っています。
「この商品は、どうしてこうなったのか?」
「どんな人が、どんな思いで作ったのか?」
そんな物語に心を動かされる体験こそが、「情熱価格」の本当の魅力なのです。
今後も「驚きのニュース」を武器に、ドン・キホーテは新たな商品を次々に世に送り出していくでしょう。消費者にとって、次はどんな商品が登場するのかという“ワクワク”を感じられるブランドとして、今後の展開にも注目です。