みなさんは「飯舘村」という場所をご存知でしょうか。福島県の山あいにあるこの小さな村は、自然豊かな景色と、震災からの復興に向かって歩み続ける人々の温かな心で知られています。
2025年10月放送の「人生の楽園」では、そんな飯舘村で、夫婦で夢見た農家民宿「古今呂の宿 福とみ」をオープンさせた渡邊とみ子さんの人生が紹介されました。震災や夫の死という深い悲しみを乗り越え、「いいたて雪っ娘カボチャ」を守り続ける彼女の物語は、たくさんの人の心に希望を与えています。この記事では、飯舘村の風景や、宿の温かさ、夫婦の絆と挑戦の日々、そして今も続く夢を分かりやすくお伝えします。
目次
人生の楽園!飯舘村と夫婦の出会いから始まる物語

渡邊とみ子さんは、福島市で生まれ育ちました。高校卒業後は三重県の縫製会社に就職し、遠い地で社会人としての第一歩を踏み出します。そんなとみ子さんが19歳のとき、お見合いで出会ったのが、東京で大工をしていた飯舘村出身の福男さんでした。
結婚後は福男さんの実家がある飯舘村に嫁ぎ、洋裁の仕事を続けながら村での新生活を始めます。飯舘村は四季の移ろいが美しい自然豊かな高原地帯で、「人と自然が寄り添う里」としても知られています。

新たな土地で暮らし始めたとみ子さんも、やがて村の自然や人々に溶け込み、家族とともに穏やかな毎日を重ねていきました。
特産品「いいたて雪っ娘カボチャ」への挑戦
時は流れ、とみ子さんが50代になった頃、村おこしの一環として特産品の開発プロジェクトが立ち上がりました。地域の代表メンバーとして選ばれたとみ子さんは、はじめての農作業に挑戦することに。最初は思い通りにいかないことばかりで、不安や失敗の連続。しかし、そんな彼女を一番そばで支え続けてくれたのが、夫の福男さんでした。
二人で相談しながら何度も試行錯誤を重ね、「雪のように真っ白で甘いカボチャ」を完成させます。それが、今や飯舘村の名物となった「いいたて雪っ娘カボチャ」。このカボチャには、「村の人たちが笑顔になれるように」という二人の願いも込められています。

カボチャの開発を成功させたことで、夫婦には新たな夢が生まれます。「このカボチャを使った料理を味わってもらい、飯舘村の良さを全国に伝えたい。」その思いが、「農家民宿を作りたい」という目標へと繋がっていきました。
震災と避難、そして夫の病
そんな矢先、2011年の東日本大震災が発生します。原発事故による放射能の影響で、飯舘村は全村避難を余儀なくされました。長年暮らしてきた家も畑も離れ、福島市内の仮設住宅での避難生活が始まります。
さらに追い打ちをかけるように、福男さんががんを患い闘病生活へ。慣れない避難生活、夫の看病、先の見えない不安…とみ子さんは、何度も心が折れそうになったと言います。

それでも、福男さんは「ここでもう一度畑を始めよう」と前向きでした。借りた畑でカボチャ作りを続け、「いつかまた飯舘村に戻ろう」と夫婦で励まし合いながら、夢を絶やしませんでした。
夫婦の夢を受け継ぎ、宿を完成させるまで
2017年、ようやく飯舘村の避難指示が解除されます。とみ子さんと福男さんは、迷わず村に戻ることを決意。
福男さんは毎日自分の手で家を修理し、新しい宿の準備を始めました。とみ子さんも、もう一度カボチャ畑を再開します。
ところが、宿の完成を目前にして、福男さんの病状が悪化。最期は新しい宿の客室で、とみ子さんと一緒に過ごし、「あとは頼んだよ」と静かに言葉を残して旅立ちました。
残されたとみ子さんは、「夫の夢を自分が叶える」と強く決意します。義母の介護や農作業、そして慣れない宿の運営準備も一から学び、たくさんの人に支えられながら少しずつ宿を整えていきました。

そして2024年6月、ついに「古今呂の宿 福とみ」がオープンします。「古今呂」という名前は、この場所にあった古い集落の名から。昔と今をつなぐ場所として、多くの人を迎え入れる宿が誕生したのです。
古今呂の宿 福とみの魅力
「福とみ」の最大の魅力は、なんといっても「雪っ娘カボチャ」をふんだんに使った手料理の数々。
ほくほくのカボチャコロッケ、甘みの強い煮物、濃厚なカボチャスープ、季節の野菜とあわせた天ぷらやサラダなど、どれもとみ子さんが心を込めて作っています。
農家民宿ならではの素朴で温かい味は、訪れた人の心も体もほっこり温めてくれます。
春には山菜採り、夏には畑での農業体験、秋はカボチャの収穫や田んぼの稲刈り、冬は雪景色と囲炉裏を囲む語らい。
ここでしか味わえない里山の四季や、村の人たちとのふれあいも、この宿の大きな魅力です。
また、「ただ泊まるだけの宿」ではなく、「ふるさとのように家族で迎えてくれる」と評判。
初めての人でも、気がつけば地元の人やリピーターと輪になり、村の暮らしや復興の話題で盛り上がっていることもよくあります。

「こんなに温かい場所は他にない」と、帰り際に涙ぐむお客さんも多いそうです。
体験と地域の魅力~ここでしかできないこと
「古今呂の宿 福とみ」では、カボチャ畑での作業体験や、地元の食材を使った料理教室、伝統的な保存食作り、季節ごとの里山散策など、いろんな体験が楽しめます。
飯舘村を知り尽くしたとみ子さんが案内してくれるので、初めての方も安心。
村内には道の駅や山津見神社、復興の歩みを感じるスポットも多く、宿を拠点にのんびり観光するのもおすすめです。
また、村では地域の人たちによるイベントやマルシェも開催され、都会ではなかなかできない出会いや交流も味わえます。

震災を乗り越えてきた人々の温かさと、飯舘村の自然と文化を、心ゆくまで体験できます。
古今呂の宿福とみ
古今呂の宿福とみ
〒960-1721 福島県相馬郡飯舘村飯樋大橋180【google map】
TEL:024-597-6059
営業時間:チェックイン:15:00-チェックアウト:10:00
営業日:水曜木曜、土曜日曜
体験型農家民宿 古今呂の宿福とみ(までい工房):公式HP
までい工房 渡邊とみ子:公式Instagram
“できる理由”を探す生き方
「できない理由を探すのではなく、どうしたらできるかを考える」
これは夫の福男さんがよく言っていた言葉です。
とみ子さんも、どんな困難なときでもこの言葉を胸に前を向いて歩いてきました。

村の人たちからも「とみ子さんの行動力と優しさに励まされている」という声が多く、宿は地域の大切な居場所にもなっています。
再生の村、これからの夢
「福とみ」は始まったばかりの宿ですが、とみ子さんの夢はまだまだ続きます。
「夫の思いを胸に、もっと多くの人に飯舘村の良さを知ってほしい」「ここを訪れる人が第二のふるさとと思えるような宿を育てていきたい」
そんな想いで、これからも宿の運営や畑仕事、地域のPR、若い世代への体験受け入れなど、さまざまな活動に取り組んでいくそうです。
村は震災を乗り越え、少しずつ元気を取り戻し始めています。
人と人との絆、自然と生きる知恵、そして「ふるさとを諦めない心」。

それが飯舘村の力であり、とみ子さんや福とみを支える原動力です。
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まとめ:人生の楽園は福島飯舘村!夫婦の夢を継ぐ古今呂の宿福とみの物語!
人生の楽園:公式HP
「人生の楽園 福島飯舘村 古今呂の宿 福とみ」は、夫婦の絆とふるさとへの深い愛情、そして諦めずに夢を追い続ける生き方が詰まった場所です。
震災を経てもなお前を向き、村に再び笑顔を咲かせた渡邊とみ子さんの人生は、きっと多くの人の心に希望の光をともしてくれるはず。
福島・飯舘村を訪れる際は、ぜひ「古今呂の宿 福とみ」で心温まるひとときを過ごしてみてください。
夫婦の夢が息づくこの宿で、ふるさとの今と、再生への歩みを感じていただけることでしょう。
