2025年9月放送の「人生の楽園」では、長野県松本市奈川に誕生した『製材所のパン屋』が紹介されました。ここは林業の町として知られた奈川で、父が営んでいた製材所を活用し、姉妹が力を合わせて始めた薪窯パンのお店です。廃業した製材所に残された大量の材木を燃料にし、新しい命を吹き込むかのようにパンを焼き続けています。この記事では、『製材所のパン屋』の誕生秘話や地域との関わり、パンの魅力をわかりやすくご紹介します。
前置き
松本市奈川は、長野県の山あいに位置し、かつては林業と農業が盛んだった自然豊かな土地です。四季折々の美しい風景と、澄んだ空気、そして温かな人々に囲まれて暮らす地域の中で、今もなお地元の歴史と伝統が受け継がれています。そんな奈川に誕生した『製材所のパン屋』は、地域の人々だけでなく、県外からも多くのファンが訪れる人気店となりました。その背景には、姉妹の想いと家族の絆、そして町に根付く“人と人とのつながり”があります。
目次
人生の楽園!姉妹が受け継いだ父の思い出

松本市奈川に生まれ育った向井亜紀子さんと妹の圭子さん。父・清さんは地元で長年製材所を営み、林業の全盛期には多くの従業員で賑わいを見せていました。木の香りが漂う工場の中で、木材がカンカンと音を立てて加工されていく様子は、姉妹にとっても子供の頃からの日常風景でした。しかし林業の衰退や後継者不足の波が押し寄せ、2015年には製材所は惜しまれつつも廃業。父の残した材木や建物を前に、姉妹は「この場所と資源をどう活かせるか」と思い悩み続けました。
ある時、幼い頃の思い出が蘇ります。それは家族で過ごしたペンション時代。冬はスキー客が集い、母と一緒に焼いていた自家製パンの温かい香りと笑顔が、姉妹の心に深く刻まれていました。

「父の残した材木を、パンの命を支える燃料にできないだろうか」。そんな思いから、新たな挑戦が始まりました。
『製材所のパン屋』誕生の物語
薪窯パン作りの主担当は姉の亜紀子さん。パン作りにおいては、生地のこねや発酵のタイミング、薪窯の温度管理、焼き加減など多くの工程に細やかな注意が求められます。亜紀子さんは長年の経験と試行錯誤の積み重ねから、絶妙な焼き色と香りのパンを生み出すことに情熱を注いでいます。妹の圭子さんは生地の仕込み、新メニューの開発、地元食材の仕入れや工房での準備など、多岐にわたり役割を担っています。姉妹はそれぞれの得意分野を生かし、アイデアや工夫を持ち寄りながらパン作りに打ち込んでいます。
店舗づくりにも二人のこだわりが詰まっています。家族が長年暮らした思い出深い家を大幅に改装し、台所はパン工房として機能的に設計され、納戸には姉妹と家族で協力して作り上げた特製の大きな石窯が据えられました。この石窯は、製材所に残された木材を活用して焼くための“命の窯”。窯の制作には地元の知人や友人の協力もあり、地域ぐるみでお店が形になったのです。
もともと玄関だったスペースは、今では焼き立てパンの香りが広がる明るい販売コーナーとなり、棚には手作り感あふれるパンがずらりと並びます。手書きのPOPや季節ごとの飾り付け、地域の子どもたちの描いたイラストや感謝の手紙が壁に飾られるなど、家庭的で温かみのある空間となりました。以前は静かだった製材所の一角が、今では手作りパンと人の温もりでいっぱいに蘇り、訪れる人々を優しく迎えています。
また、開業にあたっては保健所への申請や厨房設備の見直しなど、多くの準備と努力が重ねられました。パン作りは夜明け前から始まり、仕込みや焼き上げの作業、店頭の準備など、一日があっという間に過ぎていきます。姉妹は「やるべきことが多くて大変だけれど、お客様の『美味しい』の一言で全てが報われる」と語ります。
そして2021年、ついに『製材所のパン屋』がオープンを迎えました。開店当初は地元の方々が「どんなパン屋さんができたの?」と興味津々で訪れ、最初のうちは“手探りの営業”だったものの、姉妹が誠実に一つ一つのパンを焼き続けていくうちに、「また来たい」「家族に食べさせたい」という声が広がり、口コミで少しずつ人気が拡大。今では遠方からも噂を聞きつけて多くのお客さんが足を運ぶ人気店となり、週末にはパンを求めて行列ができることも珍しくありません。

お客さんの「ここでしか味わえない」との声が、姉妹にとって大きな励みとなっています。
自然に囲まれた高原のパン屋

『製材所のパン屋』は、標高約1,000メートルの高原にあり、近くには奈川渡ダムや美しい湖、深い森など、長野らしい大自然が広がっています。春には新緑、夏は涼しい風、秋は紅葉、冬は雪景色と、季節ごとに表情を変える絶景が楽しめるのも魅力のひとつです。店の大きな窓からは山々が見渡せ、パンを選びながら自然のパノラマを感じることができます。
営業日は週2〜3日程度で、早朝から薪窯に火を入れ、焼き上がったパンが次々と店頭に並びます。ハード系からふわふわのソフト系まで、50種類以上のパンが勢ぞろい。どれも手間ひまかけて作られているため「焼き立ての美味しさが格別」と評判です。

観光で訪れる人も、地元の常連さんも、みな笑顔でパンを手にしていきます。
信州の恵みを活かしたパンの数々
この店の大きな特徴は「地元信州の素材を活かしたパン作り」です。たとえば、松本市や安曇野産の小麦を使ったカンパーニュ、奈川産りんごの自家製フィリングを包んだデニッシュ、地元の農家から仕入れる旬野菜を練り込んだフォカッチャ、さらには昔から信州で親しまれてきたエゴマを使った食パンやロールパンも人気です。
・信州りんごのデニッシュ ・季節野菜たっぷりのフォカッチャ ・エゴマ入り香ばし食パン ・高原牛乳を使ったミルクフランス ・地元ハチミツのブリオッシュ

健康志向の方には、エゴマや雑穀入りのパンが特に評判で、幅広い年齢層に親しまれています。小さな子どもからご年配まで、安心して味わえる素材選びと手作りのやさしさが伝わります。
地域とつながる温かな場所
パン屋ができてから、地域にちょっとした“変化”が生まれました。昔から奈川に住むおばあちゃんたちが「今日はどのパンにしようか」と店先でゆっくりと語り合う光景は、この町の日常に新たな彩りを与えています。「ここのパンを買って孫と一緒に食べるのが楽しみ」と語る方も多く、お年寄りから小さな子どもまで世代を越えて“パン屋”が会話のきっかけになっています。
また観光客や移住者も「ここでしか食べられない味を」とリピーターになることが少なくありません。長野観光でたまたま立ち寄った旅行者が、帰省や再訪時にも必ずパン屋を訪れるようになったり、「インスタで知ってずっと来たかった」「遠方だけど並んでも買いたい」という声が多く寄せられています。時には県外からまとめ買いに来る方もいて、焼き上がりと同時に人気のパンが次々と売れていく日も珍しくありません。
父・清さんを知る方が「懐かしいね、清さんもきっと天国で喜んでいるよ」と姉妹に声をかける姿もよく見られます。かつての製材所時代を知る年配の方が、「あの頃は材木の山に囲まれて働いていたけれど、今はパンの香りが山里に広がってなんだか嬉しい」と感慨深く語る姿も印象的です。パンを受け取る際に、清さんの思い出話や地域の昔話に花が咲き、「この町がまた少し元気になった」と笑顔があふれています。
パン屋の軒先では、地元農家の野菜や手作りのジャムや蜂蜜、時には季節限定の山菜や高原野菜なども並ぶ日があり、ちょっとした直売コーナーになります。「パンと一緒に地元の新鮮野菜も買えてうれしい」「ここでお土産を揃えて帰るのが楽しみ」と、多くのお客様が足を止めます。さらに、地域の作家による手作りのクラフト品や、地元小学生の絵葉書やイラストなども飾られ、町ぐるみでお店を盛り上げている様子が伝わります。

人が集い、笑顔が生まれ、時には近所の方々同士がパン屋のベンチでおしゃべりをしたり、観光客が地元の方からおすすめの観光スポットを教えてもらったりと、パン屋は自然な“地域の憩いの場”として日々大切にされています。町の中に“人が集まる場”ができたことで、生活に小さな楽しみが増え、パン屋は単なる販売店以上の“つながりを生む場所”として根付いています。
姉妹を支える家族の存在
パン作りはもちろん、店の運営や力仕事には家族の支えが欠かせません。亜紀子さんの夫は、かつて父が遺した不動産や土地の管理、そしてパン屋の設営や運営にも積極的に協力。地域のお祭りやイベントの際には、家族総出でパンを焼いて出店することもあります。まさに“家族一丸”で、奈川の地で新たな物語を紡いでいます。
また、姉妹の子どもたちも時々パン作りを手伝ったり、お店の飾り付けをしたりと、世代を超えた温かな交流が生まれています。お店の壁には、家族やお客さんが描いたイラストやメッセージが飾られ、地域との絆が深まっているのが伝わってきます。
商品開発を担当している圭子さん
出典:人生の楽園:公式HP:https://www.tv-asahi.co.jp/rakuen/?pc_yjweb
『製材所のパン屋』で商品開発を担当している圭子さんは、食べる人が「これ面白い!」とワクワクするようなパンを作りたいと考えています。たとえば、長野の特産品「エゴマ」をすりつぶして、小豆と合わせたあんこがたっぷり入った「エゴマあんぱん」や、3種類のチーズがたくさん詰まった「チーズフランス」などがあります。チーズフランスはパンを割ったとき、思わず「すごい!」と声が出るほどチーズがぎっしり詰まっています。
他にも、マヨネーズとコショウで味付けしたスルメを中に入れた「スルメプチ」など、個性的なパンもいろいろそろっています。パンだけでなくスイーツも豊富で、地元のそば粉を使った「さな粉のかるかん」というお菓子も人気です。
自然が豊かな山の中にあるお店ですが、色んな種類のパンやお菓子から自分のお気に入りを選ぶ楽しみがある――それが『製材所のパン屋』の大きな魅力になっています。
未来へ続く『製材所のパン屋』
製材所のパン屋
〒390-1611 長野県松本市奈川3904−1
電話: 0263-79-2212
“材木は建築にはならなかったけれど、パンを焼く燃料として新たな命を吹き込まれた”——この言葉に象徴されるように、姉妹は「父の想い」を受け継ぎながら、これからも地域とともに歩み続けます。
薪窯パンは、天候や薪の状態で焼き加減が毎回異なり、決して簡単な作業ではありません。それでも「毎日が挑戦」と語る姉妹は、お客様の「美味しい!」の声と笑顔を何よりの励みにしています。

今後は季節ごとの新作パンや、地元野菜を使ったランチセット、地元のお祭りやマルシェ出店、地域の子どもたち向けパン教室なども企画中。町に新しい風を吹き込む存在として、地域の未来を担っています。
アクセス・営業時間・パン屋情報
『製材所のパン屋』は、松本市奈川エリアの県道沿いに位置し、自然豊かな景観に囲まれています。最寄り駅からは車で約30分。駐車場も数台分用意されていますが、人気の日は混雑することもあるので、早めの来店がおすすめです。
【住所】〒390-1611 長野県松本市奈川3904−1 【営業日】金曜・土曜・日曜(週3日営業が基本) 【営業時間】朝8時~売り切れ次第終了 【アクセス】松本駅から車で約50分/奈川渡ダムから車で5分 【駐車場】あり(台数限定) 【SNS・最新情報】公式HP・公式Instagram・公式Facebookなどで随時発信中
※パンは売り切れ次第終了のため、確実に購入したい場合は早めの来店や事前予約が安心です。
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まとめ:人生の楽園は製材所のパン屋さん長野松本市奈川の姉妹の物語です!
人生の楽園:公式HP
「人生の楽園」で紹介された『製材所のパン屋』は、父の残した材木を薪窯の燃料とし、姉妹が新たな命を吹き込む形で誕生しました。家族の歴史と地域の記憶、信州の恵みと人々の温かさがパンに詰まっています。自然に囲まれた松本市奈川の地で、地元食材を活かしたパンが多くの人に愛され、パン屋を通じて人と人がつながる“地域の楽園”として輝き続けています。
パンの香りとともに、新たな物語がこれからも紡がれていくことでしょう。


