今回の人生の楽園は、石川県金沢市ではるまき家を営む佐藤千鶴子さんが主人公です。
佐藤千鶴子さんは、北海道函館市の出身。若くして結婚し、富山での生活をスタートさせましたが、30代で離婚。その後、2人の幼い息子を連れて金沢市へと移住しました。当時、長男は9歳、次男はまだ生後半年という状況でした。
母子3人での生活は決して楽ではなく、千鶴子さんは昼夜を問わず仕事を掛け持ちして家計を支えました。早朝はパン工場、昼は事務仕事、夜は飲食店と、ほとんど休みのない毎日。それでも、どんなに疲れていても「温かい食事を子どもたちに食べさせる」ことだけは決して妥協しなかったといいます。
食卓に並んだのは、愛情たっぷりの手作り料理。その中でも、子どもたちに特に人気だったのが“春巻き”でした。たっぷりの野菜とジューシーな肉が詰まった春巻きは、栄養バランスに配慮しながらも、食べやすさと美味しさにこだわった一品でした。
目次
人生の楽園!子どもたちの自立、そして第二の人生のスタート

やがて、息子たちは成長し、それぞれ自分の道を歩み始めました。長男は就職し、次男も大学進学を経て社会人となり、親元を離れて独立した生活を始めました。親としての大きな役目を果たしたことで、千鶴子さんはようやく自分の人生を見つめ直す余裕ができたのです。
長年の働き詰めの日々から少しだけ解放され、時間にゆとりができたある日、ふと「これからは自分のために、そして誰かの役に立てることをやってみたい」と感じるようになりました。体力の衰えを感じながらも、まだ人のためにできることがあるはずと、胸の奥にあたたかな情熱が灯ったのです。
そんな時、何気ない家族の会話の中で、次男の大輔さんが語った一言が大きな転機となりました。「母ちゃんの春巻き、あれ、本当に美味しかった。あれを他の人にも食べてもらったら、きっと幸せになるよ」。この言葉に、千鶴子さんの心は強く揺さぶられました。
長年、家族のためだけに作ってきた春巻き。それが今、他人の喜びにもなるかもしれない。その思いが日を追うごとに膨らみ、ついに「春巻き専門店をやってみよう」と心に決めるに至りました。「できるかどうかじゃなく、やってみたいかどうか」。そんな気持ちで、第二の人生のスタートを切る覚悟を固めたのです。
キッチンカーから始まった挑戦
2021年、千鶴子さんはまずキッチンカーで春巻きの販売をスタートしました。小さなキッチンカーには、大きな夢と母の愛情が詰まっていました。手作りの看板や暖簾、そして千鶴子さんの笑顔は、訪れる人々に温かさを感じさせました。地元のイベントやマルシェに精力的に出店し、一つひとつ丁寧に春巻きを揚げて提供する姿が話題になりました。
その春巻きを食べたお客さんたちは「懐かしい味」「お母さんの料理を思い出す」と口々に語り、口コミで評判が広がっていきました。SNSでも「金沢にすごく優しい春巻き屋さんがある」と紹介され、県外からも興味を持って訪れる人が現れるようになったのです。キッチンカーの周囲にはいつも笑顔があふれ、次第にリピーターも増えていきました。
こうした反響を受けて、翌年には念願の実店舗計画が始動します。ちょうど空き店舗を見つけた千鶴子さんは「ここなら春巻きをもっと多くの人に届けられる」と決意。店舗の改修工事は、息子たちが中心となってDIYで進めました。壁の塗装や棚作り、厨房機器の設置まで、すべて手作業で仕上げていく過程は、まるで家族の共同作品のようでした。

週末ごとに集まり、笑いながら作業する時間は、まさに“第二の子育て”ともいえる絆の時間。近所の方も手伝いに来てくれるなど、地域ぐるみでの応援の中、2022年6月、『はるまき家』はついに金沢市に店舗を構えるまでに至ったのです。この店舗には、キッチンカー時代に培った経験と、たくさんの人の想いが詰まっていました。
『はるまき家』の春巻きの秘密
『はるまき家』の春巻きは、40年以上前に千鶴子さんが息子たちのために考案したレシピをベースにしています。特徴は以下の3点です:
挽き肉は細挽きと粗挽きをブレンドし、ジューシーかつ食感豊かに仕上げています。
野菜をたっぷりと使用し、特にモヤシのシャキシャキ感が際立ちます。
子どもにも安心して食べてもらえるように、とろみを抑えめにして火傷を防止。

これらの工夫は、すべて「食べる人のことを第一に考える」母の愛情の賜物。大人から子どもまで幅広い世代に支持されているのも納得です。
地域に広がる母ちゃんの味
『はるまき家』は、単なる飲食店にとどまりません。食事を提供するだけでなく、地域の人々が気軽に立ち寄り、心を通わせる“交流の場”としても大きな役割を果たしています。店内にはテーブル席が数席用意されており、地元の方々が自然と集い、雑談に花を咲かせる光景が日常となっています。毎日のように訪れる常連さんも多く、まるで「もう一つの家」のような雰囲気に包まれています。
例えば、近所の小学生たちが学校帰りに立ち寄ると、千鶴子さんは「おかえり」と迎え、「今日はがんばった?」と声をかけながら、時にはサービスで春巻きを振る舞うこともあります。お年寄りのお客さんには、体調や噛みやすさに配慮した提供を心がけ、「食べきれなかったら持ち帰ってね」と優しい言葉を添えます。こうした心のこもったやり取りが地域の人々の心に響き、評判を呼んでいます。
また、地域のイベントにも積極的に参加しており、春巻きのキッチンカーで地元のお祭りやマルシェに出店することで、より多くの人とつながる機会を生み出しています。特に、子ども食堂との連携では、無料で春巻きを振る舞う活動を行っており、子どもたちにとって温かくて安心できる“居場所”づくりにも一役買っています。
さらに、地域の主婦や高齢者とのコラボイベントを開催したり、お店の一角で料理教室を開いたりと、食を通じたコミュニティ形成にも力を入れています。こうした活動が評価され、地域紙や地元テレビでもたびたび紹介されるようになりました。

まさに『はるまき家』は、「お腹も心も満たされる店」として、世代や立場を超えて多くの人に愛される存在となっています。
はるまき家所在地!他
はるまき家
金沢の春巻き専門店
〒920-0848
石川県金沢市京町25-20
- TEL:090-1632-2481
- 営業時間:11:00~17:00
- 定休日:月・火曜日
- 駐車場:専用の駐車場が3台(店舗向かい)
- メニュー
たまごサンドのタルタル春巻き(6月限定)母ちゃんのたまごサンドは天下一品。そのタルタルをたっぷり使った最高の1本:300円
いつもの:母ちゃんの40年以上変わらぬ味、醤油ベースの春巻き。名も無き春巻きが、はるまき家の定番の味に。250円
大葉みそ:石川県の大野町の醤油蔵の味噌を使っています。 大葉の爽やかさが口に広がります。動物性ものは不使用。250円
しょうが:あえてザクザク大きめに切った「しょうが」が 入った一番人気。明日の元気を補給してみては?250円
カレー:母ちゃんが作る2日目のカレー。じっくりコトコト煮込んだ さとお家自慢の味。250円
カレーチーズ:今日もたっぷり贅沢にチーズを入れてみました。 お子さんにも大人気の味です。250円
五郎島金時:限定:加賀野菜の一つにも入っており 昔から多くの方々に 愛されています。スイートポテトのようなスイーツ春巻き ※動物性のものは不使用です。300円
- はるまき家:公式HP
- はるまき家:公式Instagram
アクセスは金沢駅より徒歩で約15分
車でのアクセスは、東長江ICより約6分
「このサイトはアフィリエイト広告(楽天 Amazonアソシエイト含む)を掲載しています。」
閉店後には!

出典:人生の楽園:公式HP:https://www.tv-asahi.co.jp/rakuen/?pc_yjweb
お店の閉店後には、地元の大学生や卒業生たちが集まってきます。キャリアの話や人生の悩みを語り合い、ときには店主の千鶴子さんに相談することもあります。そんな皆さんに、千鶴子さんはお米一升分のおにぎりと、串カツ、長芋フライ、そして名物の春巻きをたっぷりふるまいます。

千鶴子さんには、「いつか海外を旅して、現地の子どもたちにたくさんご飯を作ってあげたい」という夢があります。これからも、愛情たっぷりの春巻きで、みんなのお腹も心も満たしていってくださいね。
母ちゃんの挑戦は続く
「まだまだやりたいことがたくさんある」と語る千鶴子さん。その目は74歳とは思えないほど輝きに満ちており、挑戦することに年齢の制限などないと身をもって証明しています。春巻きを通じて“温かさ”を届けるという想いは、食べ物という枠を超えて、人とのつながりや思いやりまでをも包み込んでいます。
今後は、お弁当の販売や冷凍春巻きの通販展開も視野に入れているとのこと。冷凍春巻きは、全国どこからでも「母ちゃんの味」が届くようにとの願いを込めて準備中で、パッケージのデザインには孫たちのイラストを使う構想も進められています。
また、企業や学校とのコラボ弁当の企画、さらには料理教室や出張イベントへの参加など、活動の幅はどんどん広がっています。自身の経験を活かして、シングルマザーや高齢女性の就労支援を目的としたプロジェクトへの協力にも前向きで、「私にできることがあれば、どんどんやっていきたい」と話します。

これからも『はるまき家』を拠点に、春巻きに込めた想いを一人でも多くの人に届けていく千鶴子さん。まさに、挑戦に終わりはありません。
前回の放送では!
佐賀・多久市&沖縄・宮古島市人生の楽園!Coffee roast HONOとツンフグ牧場!約束を力にカフェと酪農に挑んだ夫婦たちの感動物語
こちらも見逃せない!
秘密のケンミンSHOW極!愛知味噌かつとナニワイングリッシュ完全ガイド
おわりに:人生の楽園!はるまき家石川・金沢市の春巻き母ちゃんの春巻き物語
人生の楽園:公式HP
74歳にして夢を叶えた春巻き母ちゃん、佐藤千鶴子さん。その姿は、同じように子育てや仕事に奮闘している多くの人々に勇気を与えてくれます。年齢や境遇に関係なく、「今からでも何かを始められる」ということを教えてくれる存在です。自分の人生を見つめ直し、新しい挑戦を形にしたその生き様は、まさに多くの人の背中を押すエールとなっています。
『はるまき家』は、ただ美味しい春巻きを提供するだけでなく、人と人をつなぐ大切な場所として、地域の心のよりどころにもなっています。店内に流れる温かい空気、笑顔のやりとり、そして母のような存在である千鶴子さんの存在が、訪れる人々の心に深く刻まれています。食事だけでなく、人とのつながりや心のぬくもりを感じられる貴重な場所です。
そしてこれからも、千鶴子さんの挑戦は続いていきます。新たなメニューの開発や、春巻きをテーマにした地域交流イベント、後進の育成など、未来への夢は尽きません。春巻きの皮に包まれているのは、ただの具材ではなく、母の知恵と努力、そして地域とつながる大きな愛なのです。
金沢にお越しの際は、ぜひ一度『はるまき家』に足を運んでみてください。千鶴子さんの温もりが詰まった春巻きが、きっとあなたの心もお腹もやさしく満たしてくれることでしょう。